統一原理より救われるまで【救い】② 相馬浩

その瞬間、自分は「やられた。」と思った。 一番恐れていたことが起こったと思った。肉親が完全にサタンだと思った。自分は父親の顔を見て座り込み、祈りに入った。父親は「お前のしようとしていることは正しい事ではない。」と言っていたが、自分はもう聞く耳は持っていなかった。如何にしてこの窮地を抜け出すかとしか考えていなかった。

その次に、憂慮する会の人たちが三人ほど入ってきた。自分はサタンとの戦いの場がきたと思った。とにかく祈ってこの場を脱出しなければと思った。憂慮する会の人たちと討論が始まった。思った通り、統一教会の批判が始まった。いろいろな事を語っていたが、そんなことはすべてサタンの仕業だと思い、まともに聞いてはいなかった。口では何か答えていたが、頭の中では聖歌を賛美していた。彼らはあまりにも肉的なことしか言っていないと思い、世界情勢の動きなど述べると、少し自分が優勢に話していた。

ただ、どんなに話に勝ったとしても、ここを抜け出さなくては意味がないと思った。私が明日帰ると言っても、彼らは私が原理の間違いを納得するまで帰さないと言っていた。 戦いだと思い、朝から機内で出たサンドイッチしか食べていなかったが、正座して断食と祈りに入った。長期の断食の経験はなかったが、先のことは考えなかった。彼らは、昼になったので食事をし始めたが、私は正座したままだった。話は平行状態であった。

その次に、十二使徒教会という所のクリスチャンたちが六人ほどやってきた。原理ではクリスチャンには完全な救いがないと語っていたので、聖書だけでは完全なる真実を知る事ができないと思っていた。統一教会の人たちも、原理は必ず勝つと言っていたので、原理の知識は完全ではなかったが信仰を持ってぶつかった。

そのクリスチャンたちは、区域長が一人と四人は元統一教会員だった。自分はその元統一 教会員のクリスチャンたちを、「信仰の薄いやつらだ。」と思った。その区域長の人は、「聖書を学びましょう。」と言った。思った通り、彼らは聖書を使ってきた。聖書は真理へ導く教科書という教えになっていたので、何の抵抗もなく聖書を開いた。すると不思議なことに、今まで聞いたこともない御言葉がいっぱい出てきた。それは統一原理を可笑しいと思わせるに相応しい御言葉だった。でもすぐには信じなかった。サタンの策略だと思った。統一原理をそこで述べようとしたが、その知識は自分はまだ完全ではなかった。でもこの 場は如何なる方法を用いても、抜け出さなければと思っていた。外を見ると青空が広がっていた。まぶたの下には原理の兄弟姉妹、そして文先生の顔が浮んだ。「お父様。」と祈った